初めての社交界へ

2/5
前へ
/100ページ
次へ
整った顔立ちをしているとは思っていたけれど……洋服でこうも印象が変わるとは驚きだ。 いつもと違う彼の礼装姿にしばらく見惚れていると、彼はさりげなく私の手を取り馬車へとエスコートしてくれた。 紳士的な彼の様子に驚きを隠せない中、私はおずおずと言った様子で彼の手にそっと重ねていった。 王宮へとたどり着くと、会場内は人人人……貴族で埋め尽くされていた。 さすが公爵家である一人娘のお披露目だけの事はある……。 あまりの人の多さに萎縮していく中、私は必死に蓋をすると心を隠し真っすぐに顔を上げると、背筋をピンッとはり、一度深呼吸をする。 そっとグレイに視線を向け、差しだされた彼の手に私の手を重ねると、笑顔を貼り付けながら、優雅に王宮の扉を潜っていった。 中へ入るや否や……人々が私たちへと押し寄せる。 移り変わる人の多さにただただ笑顔で頷き、私はひたすらに賛辞を受け止めていた。 頬がつりそうね……。 それに同じ言葉ばかりだと……眠くなりそう……。 退屈に感じる中、突然に会場がシーンと静まり返ると、貴族達の視線が一点へ集まっていく。 私たちもそちらへ視線を向けると、大きく扉が開かれそこには、きらびやかな衣装をまとった威厳のある男性の姿が現れた。 仰々しい彼らの様子に、王族がやってきたのだと気が付く。     
/100ページ

最初のコメントを投稿しよう!

72人が本棚に入れています
本棚に追加