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整った顔立ちをしているとは思っていたけれど……洋服でこうも印象が変わるとは驚きだ。
いつもと違う彼の礼装姿にしばらく見惚れていると、彼はさりげなく私の手を取り馬車へとエスコートしてくれた。
紳士的な彼の様子に驚きを隠せない中、私はおずおずと言った様子で彼の手にそっと重ねていった。
王宮へとたどり着くと、会場内は人人人……貴族で埋め尽くされていた。
さすが公爵家である一人娘のお披露目だけの事はある……。
あまりの人の多さに萎縮していく中、私は必死に蓋をすると心を隠し真っすぐに顔を上げると、背筋をピンッとはり、一度深呼吸をする。
そっとグレイに視線を向け、差しだされた彼の手に私の手を重ねると、笑顔を貼り付けながら、優雅に王宮の扉を潜っていった。
中へ入るや否や……人々が私たちへと押し寄せる。
移り変わる人の多さにただただ笑顔で頷き、私はひたすらに賛辞を受け止めていた。
頬がつりそうね……。
それに同じ言葉ばかりだと……眠くなりそう……。
退屈に感じる中、突然に会場がシーンと静まり返ると、貴族達の視線が一点へ集まっていく。
私たちもそちらへ視線を向けると、大きく扉が開かれそこには、きらびやかな衣装をまとった威厳のある男性の姿が現れた。
仰々しい彼らの様子に、王族がやってきたのだと気が付く。
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