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先頭には王と王妃が並び、その後ろには、第一王子の姿が見える。
皆が深い礼をとる中、私も連ねてスカートの裾を持ち上げると、淑女の礼をとった。
そんな中、こっそり顔を上げてみると、第一王子とパチッて視線が絡む。
第一王子の深いブルーの瞳に、何かが脳裏をかすめた気がした。
何か……どこかで……?
呆然とする中、王族が席へ着席すると、私の周りに集まっていた貴族たちが、王族の元へと移動していく。
私も父とグレイに連れられ、王族への挨拶を済ませると、一息つくように壁際へと移動していった。
疲れたな……。
苦しいし、はぁ……。
それに、このコルセット締めすぎでしょ……。
壁までエスコートしてくれたグレイは挨拶回りへ行くようで、絶対にこの場所から動かないこと!と言い残し私のそばから離れていく。
心配性な彼の様子に、父親のようだなぁと思いながら、自然と微笑みを浮かべて見せると、彼へと頷いた。
すると彼に続くように父と母も知人へ挨拶に行くと、会場の中へ消えていった。
一人になった私は、メイドが運んでいた果実ジュースを手に取り飲んでみる。
これ美味しい!
甘い果実に自然と顔が綻ぶのを感じながら、一人楽しく飲み物を堪能していると、誰かが私の傍へとやってきていた。
「僕と一曲踊っていただけませんか」
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