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突然のお誘いに、驚きのあまりジュースをこぼしそうになったが、何とか持ち直す。
驚きを悟られないよう無理矢理に笑顔を貼り付けると、飲み物から視線を外し、声がした方へ顔を向ける。
するとそこには精悍な顔つきで、ブロンドのサラサラな髪に海のように深い青色の瞳の青年が、爽やかな笑顔を浮かべながらに、私へと手を差し出していた。
あれ……この姿……王子様じゃないの……。
笑みが徐々にひきつってくる中、王族の誘いを断れるはずもなく、私は慌てて頷くと、急いで彼に手を重ねた。
そうして王子に導かれるままに、ホールの中央へと誘われていく。
貴族の視線が私たちへ集中する中、とても居心地が悪い。
私たちが中央へ立つと、先ほどまで流れていた音楽がやみ、新しい音楽が流れ始める。
彼と向かい合わせに立ち、ゆっくりとお互いの腰に手を回すと、彼と密着する。
私は緊張したままに彼を見上げてみると、爽やかな笑顔に私も無理矢理に笑みを浮かべた。
私は緊張を隠すように優雅に微笑みを作ると、音楽に合わせ軽やかなステップを刻んでいく。
艶やかな音楽に合わせダンスは進んでいくと、私は彼のリードのにあわせるように、彼へ体を預けていった。
曲が終わり、私は彼の腰から手を離し、一歩下がり礼をとる。
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