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テラスでの密会
彼に手を引かれ、私は赤くなった頬を隠すように足元に目線を映すと、彼が誘う方へと進んでいく。
人の目線が気になる中、会場から庭へと続く扉を開くと、私たちは王宮の庭へと出て行った。
庭には、美しいバラの花が咲き乱れ、その庭園は月明かりに照らされて、現像的な光景だった。
美しい風景に感嘆と声を漏らすと、そよ風が私の火照った頬を冷やしていく。
気持ちよい風を感じると、私は大きく息を吸い込み心を落ち着かせた。
庭を彼と二人で歩いていく中、ふと彼が立ち止まった。
顔を上げ、彼の視線の先を追ってみると……バラ園の中にポツリと浮かぶように佇む真っ白なテラスが目に映る。
わぁぁ……綺麗な場所ね……。
キラキラと光るテラスをじっと眺めていると、ふと耳に虫の音が流れた。
会場から結構離れているのだろう……その音に耳を澄ませると、静寂が私たちを包んでいた。
緩やかな風が私のドレスを揺らす中、空を見上げるてみると一面に光の粒が浮かんでいる。
「突然ごめんね。僕は第一王子アラン」
突然の挨拶に、私は幼さが残る笑顔の少年に慌てて体を向ける。
「存じてあげております。この度は私のデビューへ御参上頂きありがとうございます」
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