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彼にもう見つかったの?と問いかけようとしたその刹那……彼の頭の向こうから慌てたようすで私の方へ向かってくるパパの姿が目に映った。
その姿に私が抱きしめていた手を緩めると、彼はするりと私の腕から体を離し、どこかへと走り去り消えていく。
少年が去る背中を追いかけようとすると、突然に足が地面から離れていった。
お父様に抱き上げられたと気が付き顔を上げると、そこには今にも泣きだしそうなお父様の様子に、私はごめんなさい……と素直に謝った。
心配したんだ!と震える声にコクコクと頷く中……なぜだか次第に私の意識は、波を引くように遠のいていった。
彼は一体何を見つけたんだろう。
でも彼はとても嬉しそうだった。
綺麗な顔立ちで……そして不思議な男の子だったなぁ。
次に目を覚ますと、そこ屋敷の部屋のベットの上だった。
どうやら私は意識を失って、眠っていたらしい……。
涙ぐむお父様とお母様の姿を前に、改めてごめんなさい、と頭を下げると私は思いっ切りに二人に抱きついた。
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