慌ただしい日々

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パパたち早く戻って来てくれないかなぁ……。 そっと視線をあげてみると、少年は整った顔立ちに、サファイアの短髪で前髪が少し目にかかっている。 きっと私と同い年ぐらいだろう彼は……目元は私と似てつり目だが、深いルビーのような輝きをみせる瞳を、私は魅入るように見ていた。 そんな中、彼がこちらの視線に気がつき、頬が赤く染まったかと思うと……なぜかふてくされた様子で私から視線を反らせた。 静寂が部屋に流れ続ける中……耐え切れなくなった私はとりあえず彼に声をかけてみる。 天気の話や、家の事……こちらの質問や、何気ない話に淡々と答えていく彼の様子に、なかなか話が続かない。 とりあえず彼の興味のあるものを探らないと、会話は厳しそうだな……。 探り探りながらも、色々な話題を提供していくうちに、魔術の話をしてみると思った以上の食い付きがあった。 何でも勉強していてよかった、そう実感すると、さっそく昨日習った魔術を話題にあげてみる。 すると想像以上に、魔術にはとても興味があるようで……先ほどまでの素っ気ない返答はなんだったのか、と思うほど、表情豊かに話す姿に、私も楽しくなってくる。     
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