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初めての社交界へ
そうして彼と出会って、6年の月日が流れると、私は12歳となった。
努力の賜物か、はたまた才能か……その頃になるとマナーやダンスはもちろん、歴史や経済学も極めていた。
母様も父様もそんな私の成長にとても喜んでくれていた。
その中でも魔術は飛び抜けて成長し、私の人生計画は順調に進んでいたんだ。
ところで12歳と言うと……貴族たちは社交界へのデビューの年となる。
私はこの日の為に作ったであろう淡い桃色のドレスを身につけ、腰まで伸びた髪を結い上げると、顔には化粧を施し、王宮へと向かう準備を整える。
エスコートはもちろんグレイだ。
私の家は位の高い公爵であるにも関わらず、私にエスコート役の申し入れが一切なかった。
なぜなのか……。
皆さんこの私のつり目が怖いからですか……?
それとも魔術オタクだからですかね……?
はぁ……自分で言ってて悲しくなってきた……。
グレイは一昨年にデビューを終えており、私の隣に立つ彼は引き締まった体に、深い青のタキシードを身につけ、少し伸びた髪を固め後ろにあげていた。
いつもとは違う、大人っぽい彼の姿になぜだか頬に熱を持つ。
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