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光
大きな獣に喰われて死んだ。流行病で死んだ。そして、戦争で殺された。世界がどれだけ不条理か、人の世がどれだけ理不尽なものなのかを嫌というほど知った。
死、それは命、人生の終結。魂の帰還とも言える。どれだけ生きたいと願えど、理不尽に溢れた世界でそれを覆すのは不可能だった。
それを可能とするものがあるとすれば、力だ。どんな理不尽でも、再びやり直すことが出来る力。人生をやり直せたら、と考える人も少なくないだろう。しかし出来ないのが現実。
しかし、浅越恭介は、人生をやり直す力を持っていた。正確には転生する力を。そしてその力で既に人生を三回目無駄にした。
なぜそんな力を持っているのか、それは簡単な話。何を隠そうこの男、神様である。
神の世界からやって来る神は少なくない。一つの国に約十人くらいはいるのではなかろうか。神の持つ本来の力は使えないが、転生という力だけは人間界にて唯一許された力なのである。
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