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「で、でも、あんなとこで何してたんですか? 」
有名人が東京の街でどんなことをしていたのか単純に気になった。
「暇つぶしです」
「へぇ」
「以外ですか?」
以外と普通の回答に少し拍子抜けした表情をしていると、茉莉は言った。苦笑しながら頷くと、茉莉も同じように笑った。
プロの画家と聞くとどうしても毎日毎日、朝から晩まで絵を描いて過ごしているものだと思い込んでいたがそうではないらしいことが判明した。やはり人には暇つぶしが必要なんだろうと恭介は思った。
「やっぱり息が詰まったりするもんですか?」
「まぁ多少は、ずっと気を張ってると」
他にも何か聞いてみようかと思ったが、なんだかインタビューをしているような気分になってやめた。あくまでも今は仲を深めるための質問をするべき。そうなると何を聞くべきかわからなくなる恭介であった。
恭介が何か、主に特定の相手がいるのかということを考えていると、茉莉が口を開いた。
「恭介さんは学生さんなんですよね」
「あ、はい、すぐそこの」
「てことは、頭良いんですね」
真正面から微笑みかけられた恭介はいえそんなことないですなんて謙遜した。恭介の通っている大学は中堅の中でも高い偏差値を誇っていたので、確かに頭はいいはず。
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