空に舞う桜

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* * * * *  サクラと出会ったのは、山奥にある田舎町の、地区の神社の宮司をしている柚村(ゆむら)の養父母に引き取られた日のことだった。  家の背後にある大きな鳥居。その向こうにある小高い丘とそこに見えるピンクの色が気になり、弟の二葉(ふたば)と共に行ってみた。  そして、見えた光景に息を呑んだ。  ピンク色の正体は、巨木の桜。小学生の目で見てもそれは綺麗で、さらに俺の目を奪ったのは、天女のような装束を翻して舞い踊る女性の姿だった。  枝下の石舞台の上、降り注ぐ陽光の下、くるくると回転する。垣間見える表情には、踊ることが楽しいというのが傍目にもわかる笑顔が浮かんでいて……。  綺麗だと思った。そして、さらに俺の心を奪ったのは、鮮やかで華麗な宙返り。  うわ……すごい…………。  だが、感動は長くは続かなかった。養父に抱えあげられ、俺は我に返った。 * * * * *
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