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【松下海斗】
復讐の対象は僕だけではなかったようだ。
僕は少し安堵した。
【OZ】内で皆が事件を憶測をする中で気が付けば朝を迎えていた。
僕が犯人を捕まえる!
MOMOにアピールがてら格好つけてみたものの
ひきこもりの僕に調査の策などないし、踏み出す勇気もない
僕が今一番に怪しんでいるのは Kだ。
今回もKは不可解なコメントをした。
【OZ】の中ではハムスタ-が死骸であった事には誰も触れていないはずだ。
それなのにKは、死骸である事を知っていた。
腹が減り、1階に降りるも母はまだ寝ているようだ。
たまには散歩がてらコンビニでも行ってみる事にした。
週刊誌を手に取ろうとすると高校生くらいの少年に先を越された。
少年は記事を読むなり、激情し週刊誌の数ページを破り捨てた。
コンビニの店員が慌ててやってきた。
「すみません、週刊誌は買い取ります。すみません すみません」
我に返った少年は必死に謝罪するが、お金がない様子だ。
助けをもとめるような眼で少年は僕の方を見ている。
僕も週刊誌を見たかった事もあり、思い切って店員に話しかけた。
「あの僕、その週刊誌読みたいので買い取りますよ」
「そんな事してもらうわけにはいきませんよ」
店員と話していると、
少年はいつの間にはその場からいなくなっていた。
赤いペンダントを落としていったようだ。
「まったく 困ったもんだよ」
聞くと、少年は近所のボランティア団体に所属しているらしく
赤いペンダントはそのシンボルマークとの事だ。
情緒不安定なところがあるらしく、時々 問題を起こす事があるようだ。
結局、雑誌は無料でもらえる事になった。
家に帰り母に訪ねた。
「恵介って覚えてる?」
「外出してきたの?海斗
佐々木恵介くん?・・・ さあ あまり覚えてないわね」
母は少し考えたが、覚えていない様子だ。
ずっと家にこもっていた僕が朝から外出した事が嬉しそうだった。
結局のところ、事件についての進捗は得られなかった。
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