3)再開

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【黒木 大】 「もう、こういうことはやめなさい  自分を大事にしなさい」 「すみませんでした」 俺は 黒木大、女子高の教師だ。 生徒には真面目な熱血漢として、そこそこ信頼を得ているはずだ。 今日は、出会い系アプリを利用して中年と会っていた生徒に制裁を行った。 学校用SNSにはこういう密告がしばしある。 最近、近辺で殺人の容疑者が目撃されているという事もあり これから夜の街をパトロールだ。 SNSを通じ さきほど注意した生徒がまた中年と会うとの密告をうけた。 密告を受けた場所周辺を歩いていると 生徒が中年といるのを発見してしまった。  「おい、あなた犯罪ですよ」  「え、何この人・・・」 中年は慌てているが、俺が教師だとわかると青ざめ逃げていった。 俺は下手に追うことはしない。事が大きくなるのも困るからだ。 生徒は塾の帰りでたまたま中年に声をかけられたと主張している。 俺には真偽はわからない。 いつもの制裁を加えて今件は終了だ。 正直、高校生ともなれば自己責任でもある。 自分で中年を誘惑しておいて、 泣いて怖がるなんて下手な演技をみるのも馬鹿らしい。 とはいえ、俺だって彼女らを否定するほど 立派な人生を送っているわけでもない。 家に帰りビールをあける。 OZから誘われたプログ【OZ】で暇をつぶす毎日だ。 俺にとって【OZ】は昔の仲間と語り現実逃避できる場所でもあった。 しかし、問題が発生した。 海斗たちへのいやがらせが始まった。 剛の復讐って言われても、ピンとこない。 俺は剛と特別仲が良かったわけではないが、いじめていた覚えもない。 小学生時代ランチ会は嫌いだった。 いばりちらす 海斗と恵介、山田、桃と林檎。  ある日、剛はいじめの対象になった。 俺はそれをだまって見ていただけだった自分を後悔してる。 教師になったのだって、剛のような生徒を撲滅したいとの思いからだった。 それは確かなのだが・・・ 今の俺は、いじめを撲滅できるほどの教師には程遠い。 学校用SNSをのぞくと すでに先ほどの援助交際未遂の情報が飛びかっている。 拡散している者は正義にでもなったつもりなのだろうか 俺には正義という名の悪意にしか見えない。 SNSと共に見えない悪意がはびこる現代社会はいじめの巣窟だ。
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