8人が本棚に入れています
本棚に追加
/166ページ
写真の中には小学生の僕がいる。
仲の良い親同士が定期的に開催していたランチ会の集合写真だ。
ルーティンな日々に飽きてきた僕は
タブレットを開き、書いてあるリンク先へアクセスした。
リンク先には【OZ】なるプログがあり
すでに【OZ】には数人の住人たちがいる。
過去のコメントを読み返す。
最近できたプログのようで、小学生時代を懐かしむ会話で溢れている。
僕はSNSは好きだが、SNSは信じない。
情報は容易に手に入り、容易に今を偽ることができる。
【OZ】の世界も偽りだ。 そんな事は瞬時に解る。
あの小学生時代を心から懐かしむ者などいないと僕は知っていた。
少なくとも僕は小学生時代など思い出したくもない。
それでも、
僕はBLUE(23才 広告代理店)を演じ、プログに参加する事を決意した。
このプログの住人は8名
OZ 男 22才 カウンセラー
KURO 男 23才 教師
K 男 22才 ベンチャー社長
SORA 男 22才 保育士
PINK 女 22才 アパレル
YUKI 女 23才 美容部員
MOMO 女 22才 OL
参加したのには、当然理由がある。
小学生の頃好きだった川井 桃。
桃はランチ会のメンバーであり、ランチ会は桃と話す機会をくれた。
友達の死をきっかけにランチ会が開かれなくなった。
桃とも会話する機会は減り、僕の初恋は幕を閉じた。
それも自業自得だ。
何故なら、友達を死に追いやったの僕なのだから・・・
僕が【OZ】に参加した理由は期待と打算だ。
”MOMOは 桃 であり、【OZ】は僕に桃と触れ合う機会をくれるのではないか?”
僕の人生に目的が生まれた。
目的が人を変える。
僕はこの日から大きく変わっていく事になる。
最初のコメントを投稿しよう!