2)OZの始まり

2/14
8人が本棚に入れています
本棚に追加
/166ページ
写真の中には小学生の僕がいる。 仲の良い親同士が定期的に開催していたランチ会の集合写真だ。 ルーティンな日々に飽きてきた僕は タブレットを開き、書いてあるリンク先へアクセスした。 リンク先には【OZ】なるプログがあり すでに【OZ】には数人の住人たちがいる。 過去のコメントを読み返す。 最近できたプログのようで、小学生時代を懐かしむ会話で溢れている。 僕はSNSは好きだが、SNSは信じない。 情報は容易に手に入り、容易に今を偽ることができる。  【OZ】の世界も偽りだ。 そんな事は瞬時に解る。 あの小学生時代を心から懐かしむ者などいないと僕は知っていた。 少なくとも僕は小学生時代など思い出したくもない。 それでも、 僕はBLUE(23才 広告代理店)を演じ、プログに参加する事を決意した。 このプログの住人は8名  OZ     男  22才  カウンセラー  KURO    男  23才  教師   K     男  22才  ベンチャー社長   SORA    男  22才  保育士  PINK    女  22才  アパレル   YUKI    女  23才  美容部員  MOMO    女  22才  OL               参加したのには、当然理由がある。 小学生の頃好きだった川井 桃。  桃はランチ会のメンバーであり、ランチ会は桃と話す機会をくれた。 友達の死をきっかけにランチ会が開かれなくなった。 桃とも会話する機会は減り、僕の初恋は幕を閉じた。 それも自業自得だ。 何故なら、友達を死に追いやったの僕なのだから・・・ 僕が【OZ】に参加した理由は期待と打算だ。    ”MOMOは 桃 であり、【OZ】は僕に桃と触れ合う機会をくれるのではないか?” 僕の人生に目的が生まれた。 目的が人を変える。 僕はこの日から大きく変わっていく事になる。
/166ページ

最初のコメントを投稿しよう!