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 擽ったいような気持ちいいような耐え難いその感覚に、御門は必死で徹の頭を両手で押し退けようとする。下半身の感覚の鋭さに力の入らないその手を徹はなんなく無視し、御門の管の中に残った残液を全て吸い込まんとばかりに啜り上げた。そしてようやく満足したのか、最後にその先を何度か舐めた後に御門を解放する。 「気持ちよかったですか?」  濡れた口元を手の甲で拭いながら、徹は爽やかに微笑んだ。  しかし御門は極度の感覚に晒されたせいでもはや息も絶え絶えで、そんな徹を睨む目にも力はない。  ぜーはーぜーはーと荒い息をつく御門に、徹は今度は不安げな表情で手を伸ばした。 「っ、」  だが、今度こそ御門は渾身の力でその手を叩き落とす。驚き困惑する徹を睨みつけ、ようやく整ってきた息を確認して御門は低く唸った。 「何が、気持ち良かった、だ? この駄犬がっ。さっさと出て行けっ」  御門の地を這うような重低音に、徹はやっと自分がやり過ぎたことを自覚する。 「か、課長っ、す、すみま」 「出て行けっ!」  謝罪をみなまで言わせずに掠れた声で怒鳴れば、徹は大きな身体をびくりと震わせた。  今にも泣き出してしまいそうなほどに肩を落とした徹は、まるで叱られた飼い犬のようである。その姿に思わず憐憫を覚えてしまった御門は、いやいや、こいつは犬じゃなくてれっきとした人間の男だ。後輩であり同僚で、ほとんど初対面と言っていいほどの。なのに、しゅんと項垂れてバッグを片手に部屋を出て行くその背中は、御門の中にもやもやとした気持ち悪さを残していったのだった。  
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