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「はあ、おまえバカだな。御門は一人しかいない。てことはあぶれる女がいるってことじゃないか。お近づきになってそっちを狙うんだよ。御門のプライベートの番号、裏で高値で売れるって噂まであるんだぜ。おまえ、狙ってみるか?」  くっくっと笑う遠野に、徹は複雑な表情をした。しかしすぐに気を取り直すと、体を引いて遠野の手から逃げると、お辞儀をする。 「あのっ、書類、届けましたから。これで失礼しますっ」 「お、おお……」  勢いに押された遠野が頷くと、徹はくるっと踵を返して大股で自分の課へ戻るために歩き出す。  徹の頭の中に御門という男のことが記憶された、そんな日だった。      
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