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 思わず声が出てしまい、横から女性にしだれかかられていた御門が顔を徹の方へ向ける。 「どうかしたか?」 「っ!」  反射的に顔を上げてしまった徹の目の前に、まっすぐ自分を見ている御門の涼やかな顔があった。驚いて息を飲んだ徹が、あわあわと「足首????」とつい声を潜めることを忘れて口にすると、御門の顔が途端に険しいものに変わる。 「ちょっと、来い」  女性を軽くいなして離した御門に腕を取られて無理矢理引っ張られ、徹はわたわたと立ち上がった。 「え? あ、あのっ」  ずさんに振り払われた女性が、呆気に取られて二人を見上げているのを尻目に、徹はぐいぐいと腕を引かれわけもわからないまま、どこかへ連れて行かれる。  トイレにでも連れ込まれるのかと思っていたのに、御門が向かったのは店の外だった。  途中から無言で掴まれた腕をそのままに後をついて歩いていた徹は、やっと立ち止まった御門にどきりと胸を高鳴らせた。何かを期待したわけではなく、憧れる御門と一対一で話せるという、たったそれだけのことなのだが。 「黙っててくれ」  いきなり振り返った御門にそう言われたが、徹は御門に見惚れるばかりでその意味が頭に入ってきたのは、焦れた御門にじろりと睨みつけられてからだった。 「えっ、あ、え? 何を、でしょうか」     
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