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学校がいちばん安全でかつ信頼のおける場所だった時代でもある。
だからというわけでもないが、放課後の校庭や教室が恰好の遊び場になった。僕もエルムも大勢の級友たちと、それこそ文字通り飛んだり跳ねたりしたものだ。
残暑がまだ厳しい九月の終わり頃だった。
大気の状態がまだ不安定な時期で、積乱雲がみるみるうちに発達して、真っ黒い不気味な化け物に変わり、猛烈な土砂降りになった。空は紫の稲光が走り、雷鳴が轟く。夕立だ。
ちょうど下校時で、僕は小降りになるのを待っていた。しばらくして雲の切れ目から薄日が差し、これくらいなら大丈夫だろうと思って歩きだすと、後ろから声をかけられた。
「おい、飯沢。まだ降ってるよ。そこまで入れていってあげるよ」
エルムがピンク色の傘をふわっと広げた。
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