【春~半分桜~】

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{3} さて。 その、二日後。 私と束砂の二人は、JRの車中で揺られていた。 行き先は、もちろん、 墨田のお婆ちゃんがいる、あの田園の町だ。 今日は、ここの所、私がチェックしていた天気予報通り、雲一つ無い快晴。 窓側の席に向かい合わせに座った私達は、最初は世間話をしたりしていたのだが、 私の方は、いつの間にやら… うとうとと、眠り込んでしまったらしい…。 「おい!大地!」 と、束砂に揺り起こされ、思わず「うわっ!」と、飛び起きてしまった。 「あ、悪い!もう着いたのか?」 と、束砂に聞くと、 彼は「もうすぐ」と、クスクスと笑いながら答えた。 「大地が寝てる間、携帯小説を読んでたよ」 束砂は、自分のスマホ画面を私に見せて来た。 彼は『N★ナルシスタ』という、小説やエッセイなどが掲載されるクリエイター投稿サイトに『読み専門』で登録している。 実は、私も束砂の勧めでそのサイトに去年、登録していた。 束砂が見せて来たスマホ画面に私が目をやると、それはある小説の表紙扉の画面で、 『【化身の桜】 ファンタジー/10ページ・完結 ガッデム元居』 と、言う文字が見てとれた。 「この【化身の桜】って携帯小説、なかなか面白いよ! 作者のガッデム元居さんってクリエイター、他にも何作か面白い小説を書いてるよ!自分、大ファンなんだよね!」 「おぉ、そうか!じゃあ、私も時間を見て読んでみるよ!」 と、そんな会話をしているうちに、JRは目的の駅へと到着したので、私達は慌てて席を立った。
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