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さて。
その、二日後。
私と束砂の二人は、JRの車中で揺られていた。
行き先は、もちろん、
墨田のお婆ちゃんがいる、あの田園の町だ。
今日は、ここの所、私がチェックしていた天気予報通り、雲一つ無い快晴。
窓側の席に向かい合わせに座った私達は、最初は世間話をしたりしていたのだが、
私の方は、いつの間にやら…
うとうとと、眠り込んでしまったらしい…。
「おい!大地!」
と、束砂に揺り起こされ、思わず「うわっ!」と、飛び起きてしまった。
「あ、悪い!もう着いたのか?」
と、束砂に聞くと、
彼は「もうすぐ」と、クスクスと笑いながら答えた。
「大地が寝てる間、携帯小説を読んでたよ」
束砂は、自分のスマホ画面を私に見せて来た。
彼は『N★ナルシスタ』という、小説やエッセイなどが掲載されるクリエイター投稿サイトに『読み専門』で登録している。
実は、私も束砂の勧めでそのサイトに去年、登録していた。
束砂が見せて来たスマホ画面に私が目をやると、それはある小説の表紙扉の画面で、
『【化身の桜】
ファンタジー/10ページ・完結
ガッデム元居』
と、言う文字が見てとれた。
「この【化身の桜】って携帯小説、なかなか面白いよ!
作者のガッデム元居さんってクリエイター、他にも何作か面白い小説を書いてるよ!自分、大ファンなんだよね!」
「おぉ、そうか!じゃあ、私も時間を見て読んでみるよ!」
と、そんな会話をしているうちに、JRは目的の駅へと到着したので、私達は慌てて席を立った。
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