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さて。
その日の深夜…。
既に辺りは暗く、
墨田商店の明かりも消え、ひっそりと静まり返っていた。
そして…
その暗闇に乗じるかの様に…
二人の作業員が…
墨田商店の裏庭に、
こっそりと忍び込んで来た。
一人は、懐中電灯と『ひしゃく』を持ち、
もう一人は、持ち手が付いた大きめのプラスチック缶を持っていた。
二人は…
そぉっと忍び足で、
裏庭の真ん中に有る『半分桜』の前までやって来た。
「これが…
あいつらが言っていた『白黒・半分桜』か…。
なるほど。白い花と黒い花が同じ木に咲いてる…」
と、一人が花を懐中電灯で照らしながら言う。
「凄いな…。何か、枯らすのは、もったいないような気も…」
もう一人が呟く。
「バカ。これも仕事だ。さっさと取り掛かろうぜ。
この…強力な除草剤を今夜のうちに撒いておけば…
連休明けには、この木も枯れて…」
と…
一人が、プラスチック缶の蓋を開けようとした…
その時である!!
「おい!そこで何してるんだ!!」
いきなり!
二人は、背後から声をかけられ飛び上がった!!
見ると!
お巡りさんが一人、仁王立ちしているではないか!
「やべえっ!!」
二人は!大慌てで、その場から逃げ出そうとした!
が!
あっさりと、お巡りさんに捕まってしまった!
そして…
茂みに隠れていた…
私と束砂は、
ゆっくりと外に出た。
「ハハ、まんまと引っ掛かりやがったな!」
私は、男達に声をかけた。
「そりゃあ、焦るよなぁ!
お婆ちゃんの土地で咲いた、この『半分桜』が、もし『天然記念物』に認定されでもしたら…
お前ら、この土地に手出しできなくなっちゃうもんなぁ」
「へへーん!ちなみに自分、松竹教授の連絡先なんて知らないよーん!」
と、束砂もニヤニヤしながら言った。
「お、お前ら!俺達をハメたのか?!」
と、男の一人が叫ぶと…
がっくりと肩を落とした。
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