142人が本棚に入れています
本棚に追加
宴はたけなわ、すっかり酔いの回った男たちは数グループに分かれてそれぞれの話に花を咲かせていた。
翔吾は宮崎(みやざき)と差しで飲んでいたので、弟の凌也とは別のグループにいたのだ。
彼を取り巻く話題が何なのか、急には掴めなかった。
「凌也くんは、悪いお兄さんたちに苛められてるんじゃないのか? 助け船を出して来いよ」
「もうあいつも大人だ。飲んで絡まれたって、受け流すことくらいできるさ」
「思い込みは良くないぞ。弟というものは、兄の知らない一面を持ってるもんだ。なぁ、義仁(よしひと)」
ち、と舌打ちしてグラスを傾ける宮崎の双子の弟・義仁に笑いかけると、翔吾は片膝を立てた。
「じゃあ、ちょっと行って来るか」
そして、河瀬が中心に騒ぐ島へと翔吾は移動した。
最初のコメントを投稿しよう!