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僕はある時から、金縛りにあったり、妙な寒気がしたりと、不健康になってきている。
僕は、何かに取り憑かれているのかもしれない…
「妙ね…、こんな急に雨なんか降るなんて。」
分厚い真っ黒な雲に、地面に降り注ぐ大粒の雨。縁起が悪い。激しい夕立の中、教室にいるのは僕と、同じクラスの渡辺さんの二人だけだ。僕の不運に巻き込まれると厄介なことになるよ…
ゴロゴロゴロ…、ガジャーン!
「ひゃあ!…」
雷が近くに落ちたのだろうか。音に驚いた渡辺さんはうずくまる。教室の電気も全て消え、午後四時だというのに、暗闇に包まれる。
雷が鳴った直後だった。渡辺さんは首を押さえ、苦しそうにしている。
「…くん…、…るしい…」
言葉も途切れ途切れになっている。すると、耳元から声が聞こえた。いくつかの声が重なったような音。
「…よ、貴様は100人の幽霊に取り憑かれておる。この女を殺したくないなら、貴様に取り憑いておる幽霊を除霊しろ…」
声が聞こえなくなった時、渡辺さんは首から手を離し、咳き込んだ。
「ゴホッ…ゴホッ…」
「大丈夫ですか?」
僕と渡辺さんは、あまり面識がない。なのに、僕によって命が危なくなるのだ。不運は僕だけでいいのに…
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