一人目の幽霊

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 学校では、いつもと変わらず、僕以外の生徒が話をしている。 「…さん、いつも一人なの?」 窓の外を見ていると、さっき会った少女の霊が窓の枠に座っていた。 「アンタねぇ、積極的にならないと、彼女なんて出来っこないよ。ほら、行った行った。」 そう言って、その少女は僕の背中を押した。幽霊というのに、触れているとかあるんだ。  ただ、そう考えているのも時間はなく、僕はイスごと倒れてしまった。 「…くん、大丈夫?」 「すいません、渡辺さん。」  そのまま戻ろうとすると、背筋が凍った。 「それで終わり?」  何この人。面倒くさい。 「めんどくさいなんて思っちゃダメ!」  ひいっ! これは、渡辺さんと話すしかなさそうだ。 「…渡辺さん。」 「ん、何?」  落ち着け。たかが女子と話すだけだ。でも、何を話そう… 「天気のこととか話せばいいんだよ。」  うーん… 「わ、渡辺さん、今日は、いい天気ですね。」 「えっ…、何言ってんの。すんごい曇りだけど。アンタ、そんなに人と話したことないの?」  あ、間違えた。  僕が赤面していると、渡辺さんはクスッと笑い、 「…くん、面白いね。君がそんなボケを放つなんて、意外だよ。ハハハ」  笑ってくれた。  こんなに緊張して、硬い表情の僕を落ち着かせているのだ。 「もしかして、ちゃんと惚れた?」  ちょっと幽霊は黙ってて… 「ごめんなさーい」  幽霊は放っておいて、ここは正直に話そう 「ごめん、渡辺さん。ちょっと僕、あまり人と話したことがなくて…」 「…そうだったんだ。私でよければ、話しの特訓してあげるけど…」 「すいません、お願いします。」  窓辺の幽霊も微笑んでいる。 「…くん、そんなに硬くならないで。あ、そうだ。話があるから、放課後、教室に残っててよ。」 そうして、始業時間を迎えた。 「あなたは、どうして幽霊になったんですか?」 「私はね、昔にアンタの住んでいる家で暮らしていたんだよ。でも、二年前、通学路の帰り…」
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