一人目の幽霊

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 その時は、彼氏と仲良く帰っていた。 「今日も学校楽しかったな。」 「そうだね。」 周りから見ると、それは仲のいいカップルだった。  ただ、ある日のことだった。いつもみたいに帰っていると、彼氏がこう言ったの。 「なあ、美衣(みい)、別れてくれないか?」 「えっ…なんで…?」 「なんでもいいだろ!」  その時は何もわからなくて、 「良くないよ!…もしかして、彼女でもできたの?…」 「五月蠅いな!」 「口論になったアタシと彼は、取っ組み合いになり、近くの川に突き落とされたの。そのまま溺れて…」 「大変だったんだ。でも、なんで未練の対象は僕なんですか?」 「そりゃぁ、アンタがその彼氏に似ていたから…」 「でも、僕とは無関係ですよ。」 「それは、アタシの知ったことじゃないよ。」  でも… 「それに、アンタはその子のことを守りたいんでしょ。だったら、アタシの未練をかなえてよ。」  僕は恋愛なんてしたこともないし、する気もなかった。 だから、未練を叶えるということが僕にできるのかわからなかった。
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