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「とにかく、楽しみだね!戸村くん!」
ふざけんなよ。
君は寂しくないのかよ。
分かってるんだろ君だって。
これからは気軽に話すことも出来ない、ただのクラスメイトの関係に戻るんだぞ。
「でも、またこれで戸村くんと私が隣同士になったら面白いよね」
そうだその手があった。
次の時間のくじ引きでもう一度成田の隣になれば...。
いや、もっと確実な方法がある。
でも、この方法だともう一生口も聞けない関係になり終えない。
でもタイミング的には今しかない。
今は隣にいるのが当たり前の存在だけれども、いつまでも隣に居てくれる訳じゃない。
そう、言うんだ。
ここで言わなきゃ、もう隣同士になんてなれない。
「成田」
「なぁに?」
「となりに居てほしいんだけど?」
「何言ってるの。いるじゃない」
「違うんだよ。これからも今のようにずっと...」
彼女は僕の表情を見て、冗談では無いことを確認し、ゆっくりと俯いた。
「よし!授業始めるぞー」
彼女が俯いてしまってから、先生が教室に入ってくるまで5秒くらいしか間は無かったが、僕にとってその5秒は1時間くらいに感じられた。
すると彼女は俯いたまま小声で「少し考えさせて」とだけ呟いた。
僕は体から血の気が引いていくのを感じた。
女の「考えさせて」は、相手を傷つけないようにする魔法の言葉だと昔姉から習った。
つまり彼女の答えは...。
ノーだ。
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