病室の朝

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病室の朝

翌朝、彼の歩く気配で目をさます。 ゆっくりとドアが開いて、部屋を出ていく人影。 廊下の明るい日差しが、その人影を尚更くっきりと浮かび上がらせる。 白い壁と薬の匂い。 点滴スタンドに、大きく「氷室ユリ」と書かれた薬剤バッグ。 左手に射された針と、それを固定するたくさんの白テープ。 あぁ、夢じゃないんだ・・・ 大事な赤ちゃんの命が、危険に晒された・・・ けれども、助かった・・・ 母の心配した顔、バッグミラー越しの父の眼差し、赤ちゃんの心音、そして彼の大きくて優しい手・・・ あぁ、夢じゃなかった・・・助かった・・・
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