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花柄の髪どめ
入院1日目のお昼過ぎ、母が大きな袋を持って病室に現れた。
「あ、お母さん。ありがとう。」
「ユリちゃん、ご飯は?食べた?」
「うーん、さっき運んできてくれたんだけど、あまり食欲がなくて・・・。少し吐き気がするし。」
「そう・・・そうね。昨日の今日だから、まだ体がビックリしちゃってるのかもね。そのうち食欲も湧くでしょ。あ、ところで洋ちゃんは?」
「朝までいてくれたよ。今は会社に行って、帰りにまた寄ってくれるって。」
「一晩居てくれたんだ!やっさしいねぇ。やっぱりお母さんの選んだ人に間違いはなかったわぁー。」
「ふふっ、お母さんの選んだ人って・・・。」
母は何度も頷きながら満足そうに笑うと、大きな袋から中身を次々と床頭台に出した。
それは洗面器に始まり、洗顔用具、タオル、ティッシュ、時計にメモ用紙と筆記用具に至るまで。昨夜母が言った通り、そのほとんどが可愛い花柄かキャラクターのついたものだった。
「可愛い・・・。」
「そうでしょう?お母さん張り切って、全部さっき買ってきたの。駅の反対口にあるヨーカ堂で。」
「こんなにたくさん・・・。」
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