6386人が本棚に入れています
本棚に追加
「これだけ買うと楽しいわぁ。ほら、この髪どめもスゴく良いでしょ?ユリちゃんは髪が長いから、これも必要だと思ってね。」
「助かります。本当に。」
「あとね、はいこれ。」
「・・・・・?」
それは私が小さい時のお誕生日に、兄がプレゼントしてくれたミッキーマウスのマグカップ。
その頃は気に入って毎日使っていたけれど、就職したころからは何となく子供っぽくて、食器棚の奥に置かれたままだったもの。
「お父さんからよ。今朝はやーく台所でガサゴソしてると思ったら、これを探してたんだって。ユリちゃんに持ってけ、って。」
「懐かしい・・・お父さんにも、ありがとうって言っておいて?喜んでたって。」
「わかった。・・・じゃあ、お母さん帰るね。」
「えっ・・・もう帰るの?」
「うん、また来るからねー。」
母は空になった袋を畳んでバックへ入れると、私の返事を待たないまま、嵐のように去っていった。
最初のコメントを投稿しよう!