秘密の合図

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「有給があるから、とりあえずそれをみんな消化しろってさ。その間、このまま育児休暇に入ってもいいように、上へ掛け合ってくれるらしい。」 「え・・・それじゃ、このまま1年以上お休みをとるの?」 「まだ決定じゃないさ。ユリの身体次第なんだ。早く回復すれば出産前にも勤務することは可能だろ?人事部はユリに無理することない、って言ってんだよ。」 「・・・ありがたいけど、急な話で・・・。」 「ありがたいぜ?他の会社だったら、辞めさせられるところだってあるのに、ユリにはそれでも戻ってきて働いて欲しい、ってことだぞ?」 「・・・・なるほど。そうですね。」 「お礼、言ってきた。落ち着いたら、みんな見舞いにきてくれるってさ。」 「ふふっ、はい。」 会社には、迷惑に思われているかと内心ビクビクしていた私は、肩の荷が降りたような感覚だった。 そうなったら、ゆっくり休んで回復することが恩返しになる、と思った。 ホッとした顔の私に、彼もつられて笑顔になる。 「そうだ・・・ユリ、こうしよう。」 そう言いながら、突然彼は私の鼻をつまむ。 「フガッ・・・・な、何ですか?」
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