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「ふふっ。さすが、洋一さん。私がいた時よりお部屋が綺麗になってるかも。」
「んなわけないだろ。」
「はぁ・・・・・帰ってこられた。」
「・・・・・。」
「帰りたかった・・・。」
「ユリ、おいで。」
「・・・・・はい。」
両手を広げた彼の胸にそっと寄り添っておさまると、その腕が私の体をやわらかく包んだ。
久しぶりの感触に、甘んじて浸る。
「おかえり、ユリ。」
「・・・・・ただいま。」
顔をあげると彼が、長い長い「ただいまのキス」をくれた。
久しぶりの、溶けるようなキスだった。
唇が離れ、しばらく見つめ合う。
眼鏡の奥にある焦げ茶色の瞳が私へ語りかける。 「待っていたよ」と。
彼の手が私の顔にのび、鼻をキュッと摘ままれる。
私は笑いながら、彼の鼻を摘まむ。
それは二人だけの、秘密の合図。
おかえり・・・
ただいま・・・
大好きだよ・・・
私も、大好きよ・・・
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