愛しい声

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愛しい声

夢を、みた。 それは、彼と暮らし始めてから何度もみる夢。 庭に花壇がある家。 緑の葉が繁った、大きな木。 広いリビングに、暖炉に、二人掛けのソファ。 それは、彼が一人で暮らした部屋にあった、小さな二人掛けのソファ。 彼に愛を囁かれ、彼の横顔にときめき、彼が私の肩を抱いて微睡んだ、ソファ。 広い家には不似合いの特別なその場所に彼がいて、私がいて。 二人で笑っている。 どこからか、声がする。 誰の声かわからない。 でもとても愛しい声。 私は声の主に語りかけ、手を握り、抱き締める。 小さくて愛しい、声の主・・・ その男の子は、私を「ママ」と呼んだ・・・ 隣で彼は微笑みながら私の肩を抱き彼もまた、その男の子に語りかける。 そんな夢を、みた。
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