愛しい声

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「ユリ?・・・おはよう。」 唇に口づけの感触がして、目が覚める。 「ん・・・洋一さん。おはよう。」 「起きる時間だけど、もう少し寝てるか?」 「ううん、起きます。」 「楽しい夢でも見てた?笑ってたぞ。」 「ふふっ。やだ、笑ってた?・・・見てましたよ、幸せな夢。」 「ふうん。どんな?」 彼は起きると言いながら、片腕を私の首の後ろへ差し込み、腕枕をしてくれた。 「洋一さんと私がいて・・・。」 「ん。」 「男の子が現れて・・・。」 「え・・・。」 「私のことを『ママ』って呼ぶんです。」 「・・・・・そっか。」 「よくみる夢なんです・・・何回も同じ夢をみた気がするのに・・・初めて『ママ』って・・・。」 「ん・・・・・」 腕枕をする彼に寄り添い、肌掛け布団の上からお腹を撫でる。 彼は楽しそうにしている私の背中を、ゆっくりと大事そうに擦った。
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