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「ユリ・・・・・。」
「・・・・ん・・・。」
「・・・・・ユリ?」
優しい声に反応し、薄目を開けてみる。
朝がきたようだけれど部屋の天井がぼんやり見えるだけの明るさに、まだ瞼が重い私は再び目を閉じた。心地良い眠気に身を任せる。
衣擦れの音。
誰かが眠っている私に近づく気配を感じる。
大好きなお日さまの香りがして、頭を優しく撫でられる。
大きくて温かなその手は、私のちょっとくせのある長い髪を滑っていき、毛先に辿り着くとクルクルと弄んでいた。
ゆっくり。
ゆっくり。
「なぁ・・・・ユリ・・・。」
「ん・・・・・。」
私の名前を愛しげに呼ぶ声の主は、わかっている。
彼は、私を包み込むような優しさの持ち主。
彼は、私の全てを惑わせる瞳の持ち主。
彼は、私に愛をささやく唇の持ち主。
そして彼は、私の最愛のひと。
「・・・ユリ?・・・ね・・・。」
「は・・・い・・・洋一さん・・・。」
「おはよ。」
「いま・・・・なんじ?・・・。」
「んーっとね・・・5時だな。」
「・・・えー、はやいです。」
「そんなことないよ、俺はギリギリ。」
そう言って彼は、覆い被さるようにキスをする。
その手は私の髪に差し込まれ、頬をおおう。
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