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「ふふっ。ギリギリって?」
「俺が・・・ギリギリなの・・・」
まだ完全に目覚めない私の唇を、啄むように何度も口づける彼。
頬にあった手は、いつの間にか背中を撫でて腰までたどり着き、私の体をグイッと引き寄せた。
おぼろ気な意識の中で私は、天井に向かって両腕を広げ、彼の気配を捕まえる。
「・・・おはよう・・・。」
「はよ。起こしてごめんな。」
「・・・・・洋一さんだから許してあげる。」
「ユリの寝顔が可愛くて、我慢できない。」
「やだ、寝顔を見てたなんて・・・あれ?」
「・・・・ん?」
「洋一さん・・・・この手はなぁに?」
彼の細くて骨ばった手が、パジャマの裾から入ってきてはスルスルと私の素肌を撫でる。
「なにって・・・だから我慢できないの。」
「や・・・あっ・・・洋一さん、だって。」
「ん?・・・だって、なに?」
「あっ・・・だって昨日の夜も・・・。」
「気のせい、気のせい。」
「気のせいって・・・・・・うそ、またするの?・・・・あっ。」
すっかり目が覚めた私にニヤリと笑った彼は、お構いなしに布団をめくった。
「はぁ・・ユリ・・・可愛い。」
慈しむように
愛しそうに
私を抱きしめるひと。
彼は、私の夫になった。
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