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この世界は平等にできている。
等しく宝物なのだ。
だから、大事にしなさい。
自分が愛されたければ、他人を受け入れなさい。
それは、幼い私を施設から出してくれた養父の口癖だ。
出会った日、養父は私を、男の子だと思ったらしい。
そりゃあ胸ペタだし、髪も短い、Tシャツに半ズボンじゃ間違うだろう。まだ幼かったし。
「髪は伸ばしなさい。もう少し大人になったら、リップもぬるといい」
おいで、と広げられた両手に、私は歓喜した。
おずおずと近づけば、養父の方から、そっと包むように抱き寄せてくれたから。
「お前は今日から七架(ななか)だ。いいね?」
「はい!」
気に入られようと、精一杯笑って見せた。
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