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さらっとした発言に、 私はお茶からお隣さんに視線を上げた。 今更のように見えたのは、 呆れたような面白がるような微笑み顔。 な、なんか……やらかしちゃった感じが……。 「あ…私、勘違い…?」 「というより、早とちりかな? 片付けておかなかった僕も悪いし、 ちゃんと話すよ。 ああ、これは預かっておくね」 混乱と恥ずかしさで呆然とする私から紙を取り上げて、横宮さんはさっさと座卓まで行ってしまった。 慌てて追いかけようとする私は、手元のお茶がこぼれそうになって先にカップへ口づける。 ん、なんだか甘酸っぱい味だ。 爽やかな香りで落ち着ける。 一口飲んでから座卓へ行くと、もうひとつのティーカップもすでに湯気を立てていた。 「ええっと、それじゃあ、 横宮さんは別にどうもしないんですね?」 早とちりは認めるけれど、 これはちゃんとしておきたい。 向かいに座って念を押すと、 お隣さんは至極あっさり頷いた。
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