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チャトラの精霊が言っていることが理解できないにしろ、それは僕にとってこの上ないことであった。普段の世話は任せっきりでも、いつも縁側を独占している邪魔な奴でも、いなくなればその鳴き声のない空間に耐え切れなくなるのだ。
とにかく僕はこの依頼を受けることにした。
外は雨なので家の中から探すことにしよう。
とはいうもののどうすればいいんだ。そもそも嘘ってなんなんだ。
「嘘ってその場にそぐわないもののことか?」
「僕にはわかんないにゃ。」
使えない精霊め。嘘について考えても無駄な気がして行動に移すことにした。とりあえず不自然なものを探すという方針でいく。
まずはチャトラに関連するものから探していく。久しぶりにキッチンの一番下の収納棚を開ける。中からは大量のキャットフードが出てくる。隣で精霊のチャトラが舌なめずりをしている。
「どうせ食べられないだろ」
「ううう、僕には肉体がないのにゃ」
毎朝エサ皿に入れられるおなじみのキャットフード。注意深く見るものの不自然な点は見当たらない。しかし引き出しを最後まで引いてみると奥から犬のキーホルダーが出てきた。
「もしかしてこれか?」
キャットフードをしまっている引き出しにあった犬のキーホルダー。たしかに場違いだ。
「……違うみたいだにゃ」
少し時間をおいて精霊のチャトラは答える。はずれだったらしい。引き出しを元に戻して、ふと気になった疑問について尋ねてみる。
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