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「ひでー話だ。山本は人間観察ばかりしてるような暗い奴だったけど、同じクラスの仲間だからな。敵を取ってやりたいよ。誰がやったんだろうな?」
「警察は、守衛さんを疑ってるみたい。夜中プールに忍び込んでいた山本を見つけて、そこでもみ合いになったんだろうって」
「でも、通報したのも守衛なんだろ?」
「うん。だから当然、犯行は否認してるってさ」
「てか、そもそも山本は夜中のプールでなにしてたんだろうな?」
「僕もそれが気になって事件を調べてみたんだ」
「おっ! おまえは小学生の頃からそういうの得意だもんな。なんかわかったのか?」
「うん。山本は殴られた後、プールに放り込まれたんだけど、殴られた場所はどうやら女子更衣室の近くだったらしい」
「えっ? それって、もしかして……」
「うん。僕も初めは盗撮を疑った」
「初めはってことは、違うのか?」
「山本が盗撮犯だとしたら、持っているはずの物を持ってなかったんだよ」
「持ってるはずの物?」
「鍵さ」
「なんの?」
「更衣室の鍵。カメラを設置するにしても回収するにしても、中に入る必要があるでしょ?」
「犯人が持ち去ったんじゃないのか?」
「いや、そうする理由がない。むしろ、濡れ衣を着せるために持たせておくほうが自然だよ」
「なるほど、それもそうか」
「だから、逆の可能性を考えた」
「逆?」
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