キミの隣が好きだった

「山本が盗撮犯なんじゃなく、盗撮犯を山本が捕まえようとしていた」

「なるほど！　それなら鍵を持っていなかった理由も、そこに居た理由も説明がつく。山本って正義感の強いやつだったんだなー」
「……いや、捕まえようとしていたと言うと語弊があるか。正しくは、脅迫しようとしていただ」

「脅迫？　なんでわかるんだよ？」
「考えてもみなよ。犯人を捕まえるために、わざわざ夜中に一人で待ち伏せする？」

「あー、たしかに。捕まえるなら大勢のほうが確実だわな」
「おそらく、盗撮犯がカメラを回収する瞬間を撮ろうとしたんだろうね」

「ん？　でも、どうして山本は部室にカメラが仕掛けられていることを知ってたんだ？」
「それには、姫野が関係している」

「えっ？　姫野って、退学になった？　あれも関係してるのか？」
「うん。そもそも、姫野の援助交際が大きな話題になったのって、どうしてだと思う？」

「学校の掲示板に写真が貼り出されたからだろ？」
「いや、もっと根本的なこと」

「根本的？　うーん、なんだろ」
「それは、姫野が模範的な生徒だったからさ。勉強ができて、清楚で、部活に打ち込む生徒。そんな彼女だから、意外性があって話題になったんだ」