3人が本棚に入れています
本棚に追加
「たしかに。見るからにシテそうな奴だったら、そこまで話題にならなかったかもな」
「でも、意外性があるってことは、そこにはなにか事情もあるってことだ」
「事情?」
「うん。例えば、姫野が水泳部だったこととかね」
「それって……」
「そう。姫野は脅されていた可能性がある。着替え中の写真をバラ撒くとか言われてね」
「思春期の女子にはきついな……」
「でも、そうなると疑問が二つ湧く。一つ目は、その脅した相手、つまり、姫野とホテルに行ったのが誰なのか。二つ目は、誰がその現場を撮ったのか」
「……山本か」
「そう。おそらく、後者は山本だろう。山本はよく人間観察をしていたから、クラスメイトである姫野の異変にも気付いたはずだ。
だからその日も姫野を尾けていたんだろう。そして、その時に相手の男を知った」
「待てよ。じゃあ、どうして相手の顔は公開しなかったんだ? 話の流れからして、この学校の人間だろ?」
「それは、公開する以上のメリットがあったからさ」
「メリット?」
「そう。例えば、推薦入学で優位に立てるとかね」
「えっ!? それって……」
「そう。盗撮犯であり、その写真を使って姫野を脅した犯人。それは――」
最初のコメントを投稿しよう!