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第二章 2人の距離
私たちはいろんな話をした。家族のこと、お互いの国のこと、過去の思い出や恋愛。意外だったのは、彼は時間にはかなりきっちりしており、女性関係も決して派手ではないこと。私の持っていたイタリア人のイメージとは、大きく違っていた。
日本とイタリアの時差は8時間。私が仕事を終える日本時間午後5時や6時に、休日の彼は起床する。彼の仕事はバスの運転手のため、早朝から運転をしている日もあれば、午後から出勤の日もあり、バスのスケジュールによって休憩時間や空き時間がある。そのため、これだけの時差があっても、私たちはいろんな話をすることが出来、メッセージと共に彼の送ってくれる日の出や日の入り、美しいビーチや街並みの写真は私を魅了した。
特に私たちの距離が縮まった話題は、ジムでのトレーニングの話だった。お互いにジムでのトレーニングが趣味だった私たちは、ジムへ行くスケジュールやトレーニング内容、経過について話すのも日常的な事だった。ジムでのトレーニング中にも関わらず、つい彼にメッセージを送ってしまい、「集中しなさい」と短文でよく叱られた。
こんな調子で毎日が過ぎ、私たちの会話は、チャットが多かったものの、お互いのユーモアがとても好きで、笑いの絶えない大切な日常の一部となっていった。
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