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◆
その日の放課後、空き教室に斉藤くんを呼んだ。
入学式に連絡先を交換して以来、初めての連絡だった。
来てくれた斉藤くんは、私を蔑むように見て先に口を開いた。
「さっき2組の女子に聞いたんだけど、2組の齋藤にも告ったんだって?俺って利用されてたって事だよな」
「利用?」
「目立ちたかっただけなんだろ?人を利用して学校の有名人になった気分はどう?」
目立ちたいがために告白し、1ヶ月経って落ち着いてきた頃にまた問題を起こした。
そう捉えられても仕方がない。だからこそきちんと伝えなければと思ったのだ。
「信じるかどうかは斉藤くん次第だけど、私の事をきちんと話すね。
私は『サイトウダイスケ』という名前の人が好き。それは貴方でもあり、2組の齋藤くんでもあり、きっと全国にいる同姓同名全員だと思う。私の家族も同じで、遺伝的な呪いと言ってもいい。
私の公開告白で晒し者にした事は謝る。ごめんなさい」
斉藤くんは一瞬言葉を詰まらせたが、すぐに私を睨みつけた。
「馬鹿にしてんのか?意味わかんねぇし、頭オカシイだろ」
それだけ言うと教室から出て行こうとするが、扉を開けたところで立ち止まった。
そこにはメグミと齋藤くんがいた。
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