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「板垣さん!朝のやつ見たよ!」
「入学早々告白ってスゴイね!」
入学式後の教室で、私は同じクラスになった女子たちに囲まれた。
私は気まずく俯く。
噂は学校中に広がり「アレが入学式前に大告白した人」と遠巻きに見ている人たちもいる。
「ハナって、ああいうのがタイプだったんだねぇ。確かにかっこよかったけど、今まで好きな子の話もした事ないのにイキナリ告白とはねぇ」
メグミが感慨深げに私の顔を覗き込む。
私は何も言えず、俯いたまま。
「まぁ、良かったよね。ドン引きしてたけど、名前教えてもらえたし、連絡先も交換してくれたし。性格も良さそうだったよね、斉藤大輔くん」
名前を聞いただけで心臓がドキリと跳ねて心拍数が上がる。
「残念なのは、私たちのクラスにも『サイトウダイスケ』くんはいるのに、別の齋藤大介くんとはねぇ」
メグミの乾いた笑いを含む言葉に、私はまたドキリとした。
周囲の女子はメグミの言葉に乗っかって、口々に思った事を言いはじめる。
「ホント、残念だよね!向こうの斉藤くんは既にクラスの中心みたいに喋ってたの見たよ。こっちの齋藤は席でだんまり」
「ずっと本読んでんじゃん。何読んでるのか覗いたら、『世界の毒薬』とか書いてあるんだよ」
「こわー」
「前髪長すぎて、目見えないし」
「キモいよね」
私は唇をキュッと結んだ。
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