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「何言ってんのよ!クールで、インテリで、ミステリアスでカッコいいじゃん!!」
と、抗議の声を上げそうになるのを必死で堪える。
そしてチラリと齋藤くんを盗み見た。
目元は前髪で隠されているが、見える口元が真剣な様子を表している。
ページをめくる指が綺麗だ。
「あぁ~~」
「はいはい。授業中はこっちの齋藤で我慢だね」
呻き声を出しながら机に突っ伏した私に、メグミは私の肩を叩いて慰めたが、そうじゃない。
そうじゃないんだ!
運命の出逢いだと思った斉藤大輔くん。
でも、クラスにいた齋藤大介くんにも、同じくらいときめいている自分がいる。
私がこんなにも浮気性だったなんて……
自分で自分が情けなかった。
◆
「聞いたわよ!今日、公衆の面前で大告白したんだって?」
家に帰るなり、お母さんが問い詰めてくる。
「何で知ってんのよ……」
「メグミちゃんのママが教えてくれたわ」
「メグミめ……」
私はぼやきながら鞄を居間に投げる。
「それで、どんなサイトウくんだったの?」
「どっちのサイトウくん?」
「どっちって?」
「あっ……」
「あらあらあらあら、どういう事かしら」と、お母さんが楽しそうに、私にお茶を出して座らせた。
私は渋々座り、今日のおやつに手を出した。
お母さんとは、親子というより友達に近い。いろいろと話しやすくて、今回も洗いざらい語ってしまった。
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