サイトウダイスケには惚れません!

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「ハナ、斉藤くんの試合終わったのに、まだ見てるの?」 齋藤大介くんの走りに見惚れていた私は我に返る。 みんなも持て囃す斉藤くんに見惚れるのは仕方ない気がする。『サイトウダイスケ』の呪いが無くても好きになる対象だって事なのだから。 だけど、みんなが毛嫌いする齋藤大介くんにも目を奪われてしまう。 これはやはり呪いだ。 「うちの斉藤はやっぱ鈍臭いよね。ボールに関わる事なく無駄に走ってばっか」 「でも、あんなに走ってて息切れしてないなんて、体力あるんだね」 「え?何か言った?」 「ううん、何も言ってない」 やっぱり呪いだ。頭の中で良い方に解釈される。 私は一心不乱に授業に集中する事で、邪念を追い払おうとした。 体育だけじゃない。教室での授業もそうだ。 そう心掛けてはいるのに。 齋藤くんは真面目で、真剣に授業を受けておりノートもとっている。 国語が苦手なのか、居眠りしがちだ。 本は好きらしいけど、小説ではなく教養本ばかり。そのジャンルは色々で、この間は『世界の毒物』だったが、今は『火災現場のなんとか』などを読んでいる。 齋藤くんの情報がどんどん増えていく。 ともすると見惚れてしまいそうなので、険しい表情で睨みつける。
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