サイトウダイスケには惚れません!

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メグミに「恐い」と言われたが、そんな事を気にしている余裕は私にはなかった。 私は『サイトウダイスケ』には惚れない。 1組の斉藤くんは別クラスで接触が少ないし、そもそもカッコイイのだから問題ない。 警戒すべきは2組の齋藤くん。みんなから不気味と評価される彼は特に惚れる訳にはいかないのだ。 近くにいるほど呪いの効果を感じるので、とにかく近寄らず、避ける事に努めた。 そうやって入学式からやっと1ヶ月が経とうとする頃。 日直の仕事で昼休みにクラス全員分のノートを職員室に運ぶため階段を降りていたとき、階段を上がってきた齋藤くんと踊り場でぶつかった。 ノートがバラバラと床に散らばる。 「ごめん!」 油断しきっていた私が驚いている中、齋藤くんは落ちたノートを慌てて集めてくれて、さらに、 「ノートって地味に重いよね。僕も運ぼうか?」 と、集めてくれたノートを私に渡す素振りも見せず、今上がってきた階段を降りる方向に身体を向ける。 その言動に私は我慢できなかった。 「私に優しくしないで!!」 隣にいた齋藤くんを突き飛ばす。 目の前にいるだけでときめいてしまうのに、優しくされたら惚れずにいられない。 突き飛ばしはしたが齋藤くんはよろめいただけでまだそこに立っていて、その場に沈黙が流れて、私は齋藤くんの反応を見るために視線を上げた。 それとほぼ同時に齋藤くんは小首を傾げて言い放った。
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