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---視界が真っ白になる。 湖が一面、眩ゆい白に覆われたようだった。 否。 それは己自身が発している光そのものだった。 胸がとても、とても熱い。 「--これ、、、」 迸る光の奔流の中で、胸元の熱をまさぐる。 着物の下から出てきたのは、彼がくれた品物だった。 「手鏡、、、」 『---聴こえますか、山の女神よ』 「え」 それは現実の声ではない。 鏡から直接伝わってくるような、何かの、誰かの言葉だった。 「だ、誰だ……?!」 『貴女が大切にしてくれていた、この手鏡に宿っていた者です』 「?! な、何だと」 『驚かれることはありません。そもそもこの国は八百万の神の国。貴女とてその一員のはずです』 「なんと。付喪神が宿っておったのか……美しい鏡だとは思っておったが」 『貴女のその純粋な神気が、わたしに力をためてくださったのですよ。さぁ、時間がありません』 そこでようやく我に返った。 光の世界で、ぐるぐると首を巡らす。 「---彼は! あの男はどうした?!」 『邪気に囚われたようですが、まだ今なら間に合います。わたしの力で、少しの間だけ水神を退けましょう。その隙に彼と早く岸へ上がってください』 「---分かった! 恩に着るぞ、手鏡の神よ!」 くすり、と『彼女』が笑った気がした。 『---息子のこと、よろしくお願いしますね』 「---ッッッ、」 息子? 息子だと??? 「ッッッ、待て! そなたはもしや……ッッッ!!?」 ビッ、と閃光が走った。 目を開けていられないほどの奔流に飲まれて、山姥は思わず瞳を閉じた。
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