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「こういっちゃぁ、何ですが、人ってのはいくら良い事してあげても、すぐに元の木阿弥、
何の意味もないですよ?助けてもらった奴等なんか、何の感謝もしません。都合の良い時だけ、利用して、また困ったら縋ってくる。
その繰り返し…貴方達がただ疲弊するだけ…報酬も名誉も栄光もなし。もう、いいんじゃないすか?他の人たちに任せておけば?清廉潔白、法令順守を歌う無能役人共みたいに
見て見ぬフリをした方がいい。誰かがきっと何とかしてくれる。それでいいじゃないすか?」
昂った感情で一気に捲し立てた。少し気になり、彼女の顔を見る。驚きで目を見開いている。ヤバッ…ストレートに言いすぎ?…いや、でもこれで良い。
そろそろ彼女を楽にしてやりたい。
好きだからこそ、厳しくする。全ては彼女の幸せのため、それが叶うなら、自分は嫌われ
たって、構わない。
俺の言葉に、彼女は驚いた後、すぐに俯いた。やはり、自覚はあるのだろう。
だが、それも僅かの事…次に顔をあげた時、彼女の表情には、悲しみや迷いは少し見え隠れするものの、ハッキリとした“決意”が現れていた。
「わかってる。多分、自分でもわかってるよ。でも…駄目だよ。放っておけないよ。
誰かじゃない、私が行かなくちゃ。」
凛とした声に息を?む。しばらく、忘れていた。これだ。この心に俺は惚れたっていう事を…バッカだな、この子…でもいじらしい、非常に愛おしい。俺の中に、もう止める気持ちは無くなっていた。本当に馬鹿…でもよ。いいじゃん、それなら、開き直りに近い、気づきは
すぐの行動に繋がる。
「ゴメン」
と短く告げ、小走りで横を駆け抜ける彼女の小さな背中に声をかけ、振り向く彼女に
敬礼し、自身の動揺と沸き起こる歓喜を悟られないよう、慎重に言葉を発していく。
「頼んどいたメニューは全部、作らせておきます。会計は済ませておきますので、
たくさん食べて、夜を楽しんでくださいっす!」
「‥‥‥うん!(この‥‥は、そんなに早く戻れない程、活動が過酷な事を暗に示している。それでも彼女は→)ありがとう(と返してくれる。最高!にバッカ!だから、尊し!)」
笑顔、正に天使の笑顔で答えてくれる彼女。堪らないねぇ~。軽やかな足音を聞きつつ、手元の携帯、元仕事用を操作する。
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