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悲惨な戦争だった。残酷で凄惨な殺し合いだった。だから、誰一人としてこんな、静寂の終焉など望んではいない。
彼らが待っているのは、はっきりとした幕切れ。つまりは演出。彼の、勝利の宣言。
己に言い聞かせる。俺は次期国王だ。平定のために、これは必要な演出。――敵国の戦姫に、完全なる留目を。
光を失った瞳が、虚空を眺めている。美しかった碧眼は今、空だけを映して沈黙している。
彼はその顔の横まで歩み寄る。そして無言で剣を振りおろし――首を、撥ねた。
髪も切れた。何かの金属音もした。鮮血が散る。肉体と永遠に分かたれた首は、数十センチほど転がる。ゴロリと、重い音がした。
あっという間に血の気の引いていく顔を見ないように、亜麻色の髪を掴んで、高々と生首を掲げた。
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