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「怒ってなかったじゃん間宮センセ。あんなの普通、気にしないよねー」  左十も加わり無責任に言いたい放題言ってくれる。 「……一目惚れだってことくらい自覚してるよ。でも相手は男だし先生だし躊躇(ちゅうしょ)もするだろ。戻れなくなったら、怖いじゃん」 「──あ」  購買の方に目を向けた左十がオレをつついた。視線の先に間宮先生がいる。 (やばい、聞こえた?)  距離は十分にある。たぶん大丈夫なはずだった。 「え、なんで来んの」  右白が小声になる。  先生がまっすぐこちらに向かっていた。どうやらすれ違うだけのつもりではないようだ。 「……うー……」 「汐見?」  先生の姿が見えてから、またおかしい。じわじわと体温が上がっている。うわああと叫んで逃げ出したい。右白の腕を掴んでなんとか踏み止まった。 「こんにちは汐見君」  先生はもう目の前まで来ている。 (なんで名指し!?)  テンパって挙動不審になりかける。 (待て、落ち着けオレ。先生が名前を知っているのは、多分この中でオレだけだ。それだけだ) 「……こんにちわ」
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