502人が本棚に入れています
本棚に追加
17
「シオがしおっしお」
つまらないことを言い、左十が絵筆でオレの頬をくすぐった。
「今度は何へこんでんの。お前らラブラブじゃなかったのかよ」
反対側で右白が同じことをする。モシャモシャと鬱陶しい。
「うっぜー!」
二人の手から絵筆をもぎ取る。
「ハイそこの三人。騒いだら授業するからな」
霧谷先生の言葉にクラスメイトからの視線が痛い。今日の美術はデッサンで、残った分は夏休みの宿題になるという、実質自由時間だった。それを潰しかねないオレらへの威嚇だ。連帯責任は恐ろしい。教室の隅でごくごく密やかに雑談を続ける。
「あのさ……オレみたいなガキとか、相手にしてもつまんねーと思う?」
胸の中のもやもやを、あからさまに打ち明けた。こいつらに見栄を張っても仕方ない。今はそんな余裕もない。
「えっちの話?そんなのちょー楽しいと思うけど。開発し放題じゃん。つーかウソ、まだ手、出されてなかったの?」
左十がイキイキと輝き出す。
「いや……出されてたけど急に出さなくなった……みたいな感じ」
「何だよそれ。やっぱ遊ばれてるだけなんじゃねえの」
右白の表情が険しくなった。
最初のコメントを投稿しよう!